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ジーパン学長 大学を変える!〜八戸大学第8代学長 大谷真樹さん


ジーパン学長

 帰国後はすぐに、プレゼンのためのパワーポイントとプリンターを買いに走った。
 赤字補填のためだけにやってきたインターネット調査事業を見直し、質問に答えるとポイントが貯まるなど、会員を増やすシステムを構築した。事業計画書を作って日本の投資家を徹底的に回り、資本金を作った。
 こうして大谷さんの「インフォプラント」は、ウェブマーケティングの先駆け企業として成功し、のちに八戸に事業所を開設。
 自身は2001年に起業家のアカデミー賞「アントレプレナーオブザイヤー」スタートアップ部門優秀賞を受賞。
 08年からは八戸大学で教壇に立ち、09年から「起業家養成講座」を主宰。そして今春、学長に就任。
 大学の教壇に立つうちに、若者どうしの出会いや起業家を育てる場を作りたいと2009年に開設したのが「起業家養成講座」。テーマは、『10年で100人の起業家を青森から』だ。半年ずつの期間で開催され、次回で7期目を迎える。

八大キャンパス

 シリコンバレーでビジネスモデルを聞かれ、答えに詰まっていた大谷さん自身が、今では講座で受講生に向かって尋ねている。
 「君のビジネスモデルは何?」
 それはつまり、「君の生きる道は何?」という問いかけと同じかもしれない。

運命は誰にでも変えられる

 でも…。運命を変える、なんて、誰にでもできることなのだろうか?
 「できる」。
 大谷さんはゆっくりと、でも大きく頷く。

ジャズコーヒー

 「今まで、なんかやるとダメって言われて育ってきていると思うんだよね。親からも先生からも。そうじゃなくて、なんでも挑戦していいんだよ、失敗してもいいんだよって気づかせたい。そこに気づくだけでも、人生ガラッと変わるよ」
 『中央で成功し、故郷に錦を飾ったエリート』というちょっと近づきがたいようなイメージの背景に、実はどん底も、『ダメダメ男』だった過去も抱えていたという大谷さんに、がぜん親しみを覚えた。だからこそ、その言葉には強い説得力があった。

 

 地方が負う情報のハンデは、ネットによって解消されつつある。ネット上に発信した情報は、世界中の人に見てもらうことができる。逆に世界中の情報が、地方にいても手に入る。地方こそインターネットの恩恵を受けるべきだというのが、大谷さんの信念だ。

デスクのジーパン学長

 八戸大学ビジネス学部では今、農業経営分野にも力を入れており、2011年から新たに農業経営プログラムをスタートさせた。
 経営の対象として農業をとらえ、作物を作るだけでなく戦略を立てて効果的に売り込み、農家の収益性を上げる。規格に沿ったものを大量に流通させる従来のモデルから抜けだし、ニーズのあるところに的確に届け、適正な価格で買ってもらう。きちんと「儲かる」農業の仕組みを作り、次世代の担い手を育てていくためだ。
 今の農業を取り巻く環境は決して明るいとは言えないけれど、農業の未来は「マーケティング次第、戦略次第」と大谷さんは力強く言う。
 また来年度から「デジタルハリウッド大学」との提携がスタートする。ハリウッド映画のCG制作を手がけるなど、卒業生が第一線で活躍している通称「デジハリ」と提携することで、最先端のデジタルコンテンツ制作を八戸で学ぶことができる。
 「昼は農業。夜はMacでウェブデザイン。これが八戸型の未来像、理想型のイメージ」。
 今や地方在住でも、インターネットがあれば仕事はできる。
 自然豊かで、都市部に比べて生活費が安い八戸で、昼は農作物を作り、夜はデジタルコンテンツを作る。クリエイティブで新しい、そんなライフスタイルを思い描くと、一気に視界が開けるような感じがした。

 

八戸大学第8代のジーパン学長・大谷真樹さんの「革命」が始まった。

八戸リージョナルマガジン『ユキパル』09

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