ポール佐藤の「まちの音まちの色」第10回

桜も見頃を迎えた四月二十八日。八戸市公会堂のロビーで、私は満員電車に乗り込んだかのように身動きできずにいた。八戸市民フィル定期演奏会に訪れた人々の長い長い列である。桜前線を引き連れてきたかのようなこの演奏会を、こんなにも八戸市民は待ち望んでいたのだね。
実際、アンコールの拍手が鳴り止まない、すばらしい演奏だった。
パンフレットの曲目紹介がとてもいい文章で、大作曲家を生き生きと描写していた。引き込まれた私は、すっかりにわかクラシック通である。教科書でしか知らない作曲家なのに、現代に蘇ったリストとチャイコフスキーが、この会場のどこかに座っているような気がしてきた。

 音楽に国境は無いと言われるけれど、それだけじゃないんだね。時空も超えた共通言語なんだね。
今こうしてクラシックの名曲を聴く時、私達はきっと、何百年も前に生きた人々と同じ感情を共有している。うれしかったこと、悲しかったこと。笑ったこと、泣いたこと。

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